移転価格税制についての素朴な疑問29 移転価格ポリシーはどの程度必要か(2)
外国法共同事業 ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士 井上 康一
Ⅰ はじめに Ⅱ 移転価格ポリシーの実務と問題点 1 移転価格ポリシーの実務 2 実務上の問題点 Ⅲ 移転価格ポリシーの位置付け 1 国内法令の規律 2 国税庁の公表文書上の取扱い 3 OECD移転価格ガイドライン上の位置付け |
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Ⅳ 本稿の提案の検討
1 検討結果のまとめ
以上、国内法令、国税庁の公表文書及びOECD移転価格ガイドラインにおいて、それぞれ移転価格ポリシーがどのように位置付けられ、どこまでの記載が必要とされるのかを検討してきた。その検討結果から、以下のことが明らかとなった。
マスターファイルもローカルファイルも、租税特別措置法の定める移転価格文書化義務の対象となり、しかもその内容が細かく法定されている。これに対し、移転価格ポリシーの策定は法律上直接的に義務付けられていないし、その内容につき法令の定めはない。
ただし、租税特別措置法施行規則が規定するマスターファイルの必要的記載事項の中には、移転価格ポリシーの対象となる事項が一部含まれている...