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移転価格税制についての素朴な疑問29 移転価格ポリシーはどの程度必要か(2)

外国法共同事業 ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士 井上 康一

( 60頁)

Ⅰ はじめに

Ⅱ 移転価格ポリシーの実務と問題点

1 移転価格ポリシーの実務

2 実務上の問題点

Ⅲ 移転価格ポリシーの位置付け

1 国内法令の規律

2 国税庁の公表文書上の取扱い

3 OECD移転価格ガイドライン上の位置付け

Ⅳ 本稿の提案の検討

1 検討結果のまとめ

2 本稿の提案

3 契約書併用モデルと移転価格ポリシー単独モデル

4 両モデルの帰結

Ⅴ まとめ

1 両モデルの比較検討

2 まとめ

Ⅳ 本稿の提案の検討

1 検討結果のまとめ

以上、国内法令、国税庁の公表文書及びOECD移転価格ガイドラインにおいて、それぞれ移転価格ポリシーがどのように位置付けられ、どこまでの記載が必要とされるのかを検討してきた。その検討結果から、以下のことが明らかとなった。

マスターファイルもローカルファイルも、租税特別措置法の定める移転価格文書化義務の対象となり、しかもその内容が細かく法定されている。これに対し、移転価格ポリシーの策定は法律上直接的に義務付けられていないし、その内容につき法令の定めはない。

ただし、租税特別措置法施行規則が規定するマスターファイルの必要的記載事項の中には、移転価格ポリシーの対象となる事項が一部含まれている...