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[全文公開] 国際税務の英単語 certificate of residence(居住者証明(書))

佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周

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本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も 前回 に引き続き、一般的な税務用語です。

日本においては、特典条項( Limitation on Benefits (LOB) article )の適用対象となる租税条約の規定に基づいて源泉所得税の減免を受けようとする場合など、「租税条約に関する届出書」( application form for income tax convention )の提出に併せて、居住者証明(書)の提出も行うケースがあります。

この場合の「居住者証明(書)」の訳ですが、国税庁のウェブサイトにある「特典条項に関する付表」では、 residency certification と訳されています。しかしながら、実務では、ひっくり返して(かつ、ちょっとだけ変えて) certificate of residence (COR) と訳すことのほうが多いと思われます。また、国税庁の訳の certificationcertificate に変えて、 residency certificate と訳すこともあります。

要は居住者証明書には色々な訳があるということですが、上記以外にも、「税務上の」居住地の証明であることを明示するために、 tax を入れて、 certificate of tax residencetax residency certificate と表現したりもします。著者も昔、会話の中に出てくる TRC の意味が分からず、「 tax residency certificate の略だよ」と教えてもらったことがあります。

certificate of residence という用語の構成要素を見ると、この場合の certificate は、そのまま「証明」や「証明書」という意味であり、 residence は「居住」という意味です( residencyresidence と基本的に同じ意味です)。この点、居住者証明書の役割を考えると、非居住者等が日本で租税条約に基づく源泉所得税の減免を受けたい場合に、自国の税務当局から「実際にうちの国の居住者ですよ」ということを証明してもらうためのものといえます。つまり、 certificate of residence は、そのような目的で使われる、居住地( residence )に関する証明( certificate )ということになります。