※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

グローバル・ミニマム課税に関する国税庁Q&Aの要点解説(1)

長島・大野・常松法律事務所 弁護士 南 繁樹
長島・大野・常松法律事務所 弁護士 伊藤 昌夫
長島・大野・常松法律事務所 弁護士 松岡 亮伍

( 22頁)

第1 国税庁Q&Aの全体像¹

1 第2の柱の現状

OECD/G20「BEPS包摂的枠組み」(以下「包摂的枠組み」という。)は、2021(令和3)年10月8日に第1の柱 及び第2の柱から成る政治的合意を示した。第2の柱であるグローバル・ミニマム課税は、国 ごとに法人の利益に対し少なくとも基準税率15%の課税を確保する仕組みである。いかなる国であっても最低税率15%の課税を確保することで、法人税率の低下に向けた「底辺への競争」を無意味なものとする。2021(令和3)年12月14日に包摂的枠組みによってグローバル・ミニマム課税に関するモデルルール(以下「モデルルール」という 。)が承認され、2022(令和4)年3月11日にモデルルールに係るコメンタリー(以下「コメンタリー」という 。)が承認され、その後も執行ガイダンスが公表されている(これらを総称して「GloBE規則」という 。)。

GloBE規則に定められるグローバル・ミニマム課税は、所得合算ルール(以下「IIR」という。)、軽課税所得ルール(以下「UTPR」という。)及び適格国内ミニマム課税(以下「QDMTT」という。)から構成されている。そのうち、ある国に所在する多国籍企業グループ内の会社(構成会社等)の法人税が基準税率15%に満たない場合、その親会社に対して不足分の課税を行うIIRが中心である。IIRは我が国でも法人税法において「各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税」( 法人税法82条82条の10 等)として法制化され 、本年2024(令和6)年4月1日から施行される

2 国税庁Q&Aの記載事項

国税庁は、2023(令和5)...