[全文公開] 国際税務の英単語 withholding tax(源泉税)
佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周
本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も前回に引き続き、一般的な税務用語です。
前回、特典条項( LOB: Limitation on Benefits )について解説した際、特典( benefits )の意味合いとして、租税条約( tax treaty )による源泉税の減免の例を挙げました。この場合の「源泉税」は、一般に withholding tax と訳します。海外からのレポートなどの図表の中に WHT という略語があれば、だいたい源泉税のことです。
ここでいう withhold の意味は、 keep back (取っておく)という表現が一番近いものです。そのため、普段の英語では「...を保留する、渡さない」という意味で使いますが、税務分野に限っていうと「...(税金など)を源泉徴収する」という意味になります。
源泉税については、その税率(源泉税率)の確認が必要になる場面がありますが、この場合の「源泉税率」は、シンプルに withholding tax rate と表現できます。そして、実際の税率(パーセンテージ)を明記したい場合には、後ろに of ... を追加して、 withholding tax rate of 10% (10%の源泉税率)でOKです。
ちなみに、源泉税については、よく「...に対する源泉税」という表現を使いますが、これは、前置詞の on を使って、 withholding tax on ... という言い方をします。そして、だいたい後ろに付くのは配当・利子・使用料といった所得の種類で、対応する英訳はそれぞれ dividend (配当)、 interest (利子)、 royalty (使用料)です。そのため、「配当源泉税」と言いたい場合には、「配当に対する源泉税」と考えて、 withholding tax on dividends と訳せばよいことになります。また、実際の支払いのタイミングで源泉徴収されることを明確にしたければ、 withholding tax on dividend payments のように、 payment (支払い)を付けることもできます。
なお、別の表現として、 (tax) deduction at source でも「源泉徴収」という意味になります。ここでいう source は、文字どおり「源泉」という意味です。
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