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令和6年度税制改正 国際課税関係の改正について

  堀越 聖啓
  吉田 雅史
  渡邉 正晴

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はじめに

令和3年(2021年)10月に、OECD/G20「BEPS包摂的枠組み」(IF:Inclusive Framework on BEPS)において、市場国への新たな課税権の配分(「第1の柱」)及びグローバル・ミニマム課税(「第2の柱」)の「2本の柱」からなる解決策が最終的に合意されました。このうち「第2の柱」については、令和5年度税制改正において所得合算ルール(IIR:Income Inclusion Rule)に係る法制化(各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の創設等)が行われたところです。令和5年度税制改正に引き続き、今般の税制改正においても国際合意に則った法制化が行われており、具体的には、所得合算ルールについて、OECDにより発出されたガイダンスの内容や、国際的な議論の内容を踏まえた制度の明確化等の観点からの見直しが行われています。

加えて、「第2の柱」の導入により企業に追加的な事務負担が生じること等を踏まえ、令和5年度税制改正に引き続き、外国子会社合算税制について追加的な見直しが行われました。具体的には、いわゆるペーパー・カンパニー特例に係る収入割合要件について、外国関係会社の事業年度に係る収入等がない場合には、その事業年度における収入割合要件の判定を不要とする見直しが行われています。

また、分散型台帳技術を使用する暗号資産等を利用した国際的な脱税及び租税回避を防止する観点から、令和4年(2022年)、OECDにおいて策定された「暗号資産等の取引や移転に関する自動的情報交換の報告枠組み」(CARF:Crypto-Asset Reporting Framework)に基づき、非居住者の暗号資産に係る取引情報等を租税条約等に基づいて各国税務当局と交換するため、国内の暗号資産取引業者等に対して非居住者の暗号資産に係る取引情報等を税務当局に報告することを義務付ける...