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BEPS包摂的枠組みによる第1の柱「利益B」の最新動向

デロイト トーマツ税理士法人 シニアアドバイザー 山川 博樹
デロイト トーマツ税理士法人 パートナー 佐伯 拓也

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2024年6月17日、OECD/G20のBEPS包摂的枠組み(以下「BEPS包摂的枠組み」)は、ウェブサイトにおいて第1の柱・利益Bに関する2つの追加ガイダンス文書を公表した。当該追加ガイダンス文書は、2024年2月に公表されたBEPS包摂的枠組みによる報告書(以下「2024年2月報告書」)で未確定だった要素に関する検討結果をまとめたものである。

BEPS包摂的枠組みは、国際課税制度改革に関する「2本の柱」からなるアプローチを開発してきた。利益Bは、利益配分に関する「第1の柱」の構成要素の一つとして、独立企業原則適用を簡素化・効率化することを目指す、基礎的販売・マーケティング活動の価格設定に係る新しいアプローチである。一定の販売活動を行っている全ての企業が、その規模にかかわらず、利益Bの対象となる可能性がある。2024年2月報告書では、最速で2025年1月1日から適用される、利益Bの中心となるルールが定められた。

追加ガイダンス文書は、2024年2月報告書で未確定だった以下の3つの要素に関する検討結果をまとめたものである。

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