※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです
国際税務紛争を解決するための視点・論点 第2回 関連裁判例・裁決を踏まえた移転価格実務上の論点の整理(1)
大江橋法律事務所 弁護士・ニューヨーク州弁護士 河野 良介
( 84頁)
第1 はじめに
前回 は、国際税務紛争に対応するための手続選択について概説したが、今回は移転価格税制に関する国内税務争訟に対応する際の勘所について取り上げてみたい。移転価格税制に関する裁判例や審査請求裁決については、優れた評釈が多数存在するところ、本稿では、紙幅の関係から、個々の裁判例等について、事実関係を踏まえた詳細な評釈を行うのは困難である。そこで、本稿では発想を変え、関連裁判例・裁決等の傾向を踏まえつつ、今後の移転価格争訟で問題となりそうな論点を抽出した上で、納税者の実務対応に資する視点を整理することに注力したい。
第2 移転価格争訟の歴史
1 裁判例
我が国に移転価格税制が導入されたのは昭和61...
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