[全文公開] 国際税務の英単語 taxable income(課税所得)
佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周
本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も前回に引き続き、一般的な税務用語です。
法人税( corporate[corporation]income tax )は、シンプルにいうと、課税所得に税率を乗じて計算されます。このうち、税率のほうは tax rate と訳せるとして、課税所得のほうはどう訳せばよいでしょうか?
色々な言い方がありますが、 taxable income という表現が使いやすいと思います。構成要素を見ると、 taxable は「課税できる、課税対象の」という意味の形容詞で、 income は「所得」という意味の名詞なので、 taxable income で「課税所得」ということです。
ちなみに、「課税されるか、されないか」という議論にあたっては、 taxable の対義語として non-taxable (課税対象外の、非課税の)という単語が使いやすいです。あるいは、 exempt でも non-taxable と同じような意味になります。
海外とのやり取りにあたっても、会計上の数値と税務上の数値を区別することは重要ですが、会計上の利益( accounting profit )と対比する際、課税所得を taxable profit と英訳することもあります。この場合の taxable profit と taxable income は同じものと考えておけばよいでしょう。一般に、 profit といえば「会計上の利益」を指すことが多いですが、 taxable を付けると、(税務上の)「課税所得」という意味にもなるということです。逆に income は「所得」と訳すことが多く、その意味で税務寄りの用語ですが、 net を付けて net income とすると、「(当期)純利益」という会計寄りの意味にもなるため、いずれも誤解を招かないように注意する必要があります。
ちなみに、日本の法人税では、法人税申告書の別表四で、会計上の利益に調整を加える形で課税所得を計算します。多くの国で、これと同様の調整計算を行いますが、その調整計算は必ずしも申告書自体に含まれているとは限らず、付属の計算資料( tax computation )に含まれている場合もあります。
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