[全文公開] 国際税務の英単語 depreciation(減価償却)
佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周
本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も 前回 に引き続き、一般的な税務用語です。
前回 は、会計上の利益( accounting profit )と区別する形で、課税所得( taxable income や taxable profit )という表現を扱いました。このように、海外とのやり取りにあたっても、会計上の数値と税務上の数値を区別することは重要ですが、この文脈でいうと、「減価償却」という用語の取扱いはなかなか厄介です。日本でもそうですが、多くの国で、会計上の減価償却費は税務上のそれと異なるので、両者を区別する必要があるためです。
前提として、「減価償却」が depreciation と訳されるのは、皆さんよくご存知だと思います。動詞の「減価償却する」は depreciate ですが、用語の構成要素を見ると、“ de ”は down 、“ preci ”が price という意味合いなので、まさに「減」+「価」という構成の用語になっています。
「減価償却」を depreciation と訳すとすると、まずは簡単に accounting/tax を前に付けることで、 accounting depreciation (会計上の減価償却)と tax depreciation (税務上の減価償却)という形で区別することができます。あるいは、これは減価償却という用語に限りませんが、 for accounting/tax purposes という表現を使って、「目的」を明示する方法もあります。具体的には、 depreciation for accounting purposes (会計目的の減価償却)と depreciation for tax purposes (税務目的の減価償却)という区別の仕方です。
こういう表現に慣れてくれば、「会計上の減価償却費と税務上の減価償却費の差異」を difference between accounting depreciation and tax depreciation と表現したり、「減価償却超過額」を accounting depreciation exceeding tax depreciation (税務上の減価償却費を上回る会計上の減価償却費)と表現したりすることも可能です。
ちなみに、 accounting depreciation のほうは、 book depreciation と呼ばれることもあります。また、 tax depreciation のほうは、この連載でも以前触れたとおり、特定の国では capital allowance と表現されます(ここでの capital は「固定資産などの資本資産」、 allowance は「損金算入」という意味です)。
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