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グローバル・ミニマム課税における実務上の留意点と課題 第12回 CbCRに関する具体的照会事例の検討(Q&A)

  秋元 秀仁

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略歴  旧大蔵省主税局、国税庁調査査察部調査課(国際/審理担当)、同課税部法人課税課、同審理室、東京国税局統括国税実査官(国際/富裕層担当)、玉川税務署長、東京国税局調査管理課長、国税庁長官官房監督評価官室長、札幌国税局総務部長、高松国税局長などを歴任。現在、税理士、青山学院大学大学院非常勤講師。

 はじめに(問題の所在)

 具体的照会事例の検討

Q1 同一所在地国内の子会社について異なる会計基準の適用がある場合の適格CbCRセーフ・ハーバーの適用

Q2 適格CbCRセーフ・ハーバーの適用上、PPA調整によって生じたのれんの減損損失・償却費の取扱い

Q3 CbCRにおける「期中離脱会社」の取扱い(CbCRの対象構成会社等に含まれるか否か)

 おわりに(実務上の疑問点と課題の検討)

Ⅰ はじめに(問題の所在)

グローバル・ミニマム課税制度(国際最低課税額制度)においては、ある国又は地域(以下「所在地国」という。)の実効税率が基準税率(15%)以上となる可能性が高いケースの実務対応として、この実効税率の計算や国際最低課税額の計算を不要とする仕組みが用意されています。「適格CbCRセーフ・ハーバー(移行期間セーフ・ハーバー) 」の適用がそれで、新制度に対する導入移行期間の限定措置として法制化されています(令和5年改正法附則14)。

この「適格CbCRセーフ・ハーバー」は、特定多国籍企業グループ等が提供を行う国別報告事項(Country by Country Report:CbCR)に記載された情報を用いて上記計算事項の省略の是非(セーフ・ハーバーの判定)を図るものです。

ある所在地国の実効税率や国際...