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国際税務紛争を解決するための視点・論点 第3回 関連裁判例・裁決を踏まえた移転価格実務上の論点の整理(2)

大江橋法律事務所 弁護士・ニューヨーク州弁護士 河野 良介

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第1 はじめに

前回 は、移転価格の実務について、移転価格争訟の歴史を振り返りつつ、①取引の一体性を前提にした課税処分への対応、②取引単位営業利益法における比較可能性を巡る問題といった、近時の移転価格争訟との関係で関心が高まっている論点を取り上げ、関連裁判例や裁決を紹介しながら論じた。

今回も引き続き移転価格実務上の論点の整理をテーマとした上で、前回予告したとおり、①残余利益分割法における分割ファクター、②推定課税や同業者調査に関する実務対応といった重要な論点について、関連裁判例や裁決を踏まえて解説したい。

第2 残余利益分割法における分割ファクターの分析

1 平成23年度税制改正を踏まえた留意点

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