[全文公開] 国際税務の英単語 tax audit(税務調査)
佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周
本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も 前回 に引き続き、一般的な税務用語です。
「税務調査」の訳として最も一般的と思われるのは tax audit ですが、それ以外では tax examination という訳もあります。ここで、 audit は「監査」と訳すことが多く、 examination は「検査」と訳すこともありますが、いずれも「ちゃんと調べる」というニュアンスであり、 tax と組み合わせると、税務「調査」という意味合いになります。
ちなみに、類似の用語として tax investigation というものもありますが、これは脱税や犯罪の調査のイメージで、もう少し深刻な印象を与えます。
次に、動詞との組み合わせを考えると、「税務調査を行う」というのは、 conduct (...を行う、実施する)という動詞を使って、 to conduct a tax audit と表現できます。ただ、これは企業の方が頻繁に使う表現ではないでしょう。逆に、「税務調査」についてよく使われるのは、「税務調査を受け(てい)る」という表現だと思います。シンプルに英訳すると、 to be subject to a tax audit となり、例えば、 We are subject to a tax audit と言えば、「税務調査を受けています」という意味になります。もちろん、上記の conduct を受動態で使って、 a tax audit is conducted (税務調査が実施される)という言い方も可能です。
税務調査においては、調査官( tax auditor または tax examiner )から色々な指摘がありますが、「調査官は...と主張している」というのは、 a tax auditor insists that ... というように、 insist (強く主張する、言い張る)を使って表現できます。「言い張る」という意味の insist が、これほどしっくりくる場面は他にないような気がします。
同じようなニュアンスで、調査官から税務処理に疑義が呈される場合には、 a tax auditor challenges the tax treatment of ... (調査官から...に係る税務上の取扱いに疑義を呈される)というように、 challenge を使うと伝わりやすいと思います(ここでの challenge は、いわゆる「チャレンジ」ではなく、「...に異議を唱える」という意味です)。