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国際税務紛争を解決するための視点・論点 第4回(最終回) タックス・ヘイブン対策税制に関する最高裁判決の整理を通じて得られる実務上の視点
大江橋法律事務所 弁護士・ニューヨーク州弁護士 河野 良介
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第1 はじめに
国際税務紛争を解決するための視点・論点というテーマで連載を続けてきたが、今回(第4回)が最終回となる。最終回では、タックス・ヘイブン対策税制に関して下されてきた複数の最高裁判決について一定の分類を行いつつ、必要に応じて横断的に検討することによって、同税制に関する税務紛争を解決するための実務上の視点について整理を試みる。
第2 タックス・ヘイブン対策税制事案に関する最高裁判決の分類の視点
タックス・ヘイブン対策税制に関しては、裁量上告制となった平成10年の民事訴訟法改正以降、双輝汽船最高裁判決(最判平成19年9月28日民集61巻6号2486頁)、グラクソ最高裁判決(最判平成21年10月29日民集63巻8号1881頁1)、ガーンジー島事案最高裁判決(最判平成21年12月3日民集63巻10号2283頁)、デンソー最高裁判決(最判平成29年10月24日71巻8号1522頁)、みずほ銀行最高裁判決(最判令和5年11月6日民集77巻8号1933頁)、日産自動車最高裁判決(最判令和6年7月18日裁判所ウェブサイト)といった複数の最高裁判決が下されている。一方で、同じ国際税務分野でも、移転価...