ドイツにおけるPillar 2 グローバル・ミニマム課税ルールの導入
ドイツ・EUビジネスコンサルタント 池田 良一
1.はじめに
OECDのPillar 2(第2の柱:グローバル・ミニマム課税)については、日本でも、2024年4月1日開始の2024年度から部分的導入が図られている。他方で、EU(欧州連合)においては、グローバル・ミニマム課税ルール(GloBEルール)の内容を、いったんEUグローバル最低課税制度指令(2022/2523)に落とし込み、加盟国:ドイツは、2023年中に、その主旨を反映させた最低課税法(Mindeststeuergesetz:全101条)を可決・成立させ、実質的に2024年1月1日(正確には、2023年12月31日)以降に開始する事業年度から全面的に施行している。
多くの日系企業においては、最終親会社が位置する日本での対応が中心的なものになる。それでもビジネス拠点(中間親会社・子会社・支店等)がドイツあるいはEU(欧州連合)にある場合、現地での実務的対応もしっかりしておかなくてはならない。ドイツのPillar 2のために導入された最低課税法も、OECDのPillar 2の基本ルール(GloBEルール)を踏襲しており、そこからの大きな乖離はないのであるが、一気の全面的導入であること等も含めて、ドイツあるいはEU(欧州連合)において具体的にどのように導入されているかも把握しておくことが重要と思われる。
2.EU(欧州連合)とドイツにおける立法化
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