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日本とシンガポールにおけるAPAの現状と今後の展望

DLA Piper 東京 シニア・タックス・ディレクター 山田 晴美
DLA Piper Singapore タックスアドバイザー アン・クラッセン

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1 はじめに

事前確認制度(APA)は、複雑かつ広範なクロスボーダー取引を行う企業にとって、事前に税の確実性を担保し、移転価格リスクを軽減・管理するために不可欠なツールとなっています。

日本とシンガポールはアジアを代表する経済大国であり、貿易や投資において強固なつながりがあることから、APA制度は両国にとって大変重要な意味を持つようになってきています。

日本の国税庁(NTA)とシンガポールの内国歳入庁(IRAS)が発表した最新のデータでは、両国でAPAの申出と相互協議の件数が大幅に増加しており、この傾向は今後も続くと思われます。このことから、ここで改めて日本とシンガポール間のAPAの現状と問題点を見直すことは大変意義のあることだと考えます。

2 日本とシンガポールにおけるAPAの歴史

日本は1986年にOECD移転価格ガイドラインに沿って移転価格税制を導入し、翌年の1987年、APAを導入しました。その後、日本におけるAPAは高度に発展し、その結果、APAの申出件数は他の多くの国と比較して著しく多くなっています。

当初、日本における移転価格調査は、一般の税務調査とは別個に行われ、大企業が巨額の課税...