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TP Controversy Report〈86〉 最近の移転価格調査~合弁会社取引は歪むのか?~
EY税理士法人 竹内 茂樹
( 102頁)
はじめに
多くの合弁会社との取引が移転価格調査対象とされているようです。この傾向は、過去、日本当局が合弁会社との取引について課税を行い、結果、(通常、合意できるはずの米国との)相互協議で合意できず、国税不服審判所までの段階で、全ての課税処分が取り消される、ということが生じた後においても特に変化はないようです。筆者は、合弁会社との取引で価格に歪みが生じ、所得移転が発生するということは、一部の例外的なケースを除き、基本的には起こりにくいのではないかと考えています。今月号では、そういった点についてレポートしたいと思います。
1 事務運営要領の作成背景・経緯
合弁会社との取引に関しては、まず、経緯の大枠を押...