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EU域外の政府から補助金・税恩典を受けた企業に係る買収等の規制について

EY税理士法人 アソシエートパートナー 古瀬 裕久
 アソシエートパートナー 今井 遼子

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2023年より、EUにおいてForeign Subsidies Regulation(以下、「FSR」)という新たな規制が導入されています。この規制では、EU域外で、政府から補助金・税恩典を受けた企業がEU域内の会社を買収する、EU域内の会社と統合する、EU域内でジョイントベンチャー(以下、「JV」)を設立する場合や公共調達の入札に参加する場合等に、事前の届け出等を行うことを求めており、仮に届け出義務等を遵守しなければ、一定の制裁金の賦課を含む制裁が規定されています。税務に直接的に関連する法律やガイドラインではありませんが、EU域外の政府から補助金・税恩典といった資金的な貢献(以下、総称して便宜上「外国補助金」)を受けている日本企業は多く、またそのような企業がEU域内で直接投資等を行うケースが多いことから、制裁金の金額的影響を考慮し、注意喚起の意味も含めて、FSRの概要を解説いたします。

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