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令和7年度税制改正大綱を踏まえたBEPS 2.0の最新動向

デロイト トーマツ税理士法人 シニアアドバイザー 山川 博樹

( 28頁)

2024年(令和6年)12月20日に令和7年度与党税制改正大綱が公表された。本大綱を踏まえたBEPS 2.0の最新動向を述べさせていただく。

Ⅰ グローバル・ミニマム課税(第2の柱)

1 大綱における基本的考え方

グローバル・ミニマム課税については、わが国企業の国際競争力の維持及び向上につながるものであり、令和7年度税制改正においても国際合意に則り、UTPR及びQDMTTの法制化を行う。適用開始時期は対象企業の準備期間を確保する観点等から、いずれも令和8年4月以降に開始する対象会計年度とする。あわせて、OECDにより発出されたガイダンスの内容等を踏まえ、制度の明確化等の観点から所要の見直しを行う。引き続き令和8年度以降の税制改正において、今後発出されるガイダンスの内容等を踏まえた見直しを検討するとともに、第2の柱との関係を踏まえて適正な課税を確保する観点から既存の税制について必要な検討を行う。

(大綱14頁より抜粋)

グローバル・ミニマム課税は、IIR、UTPR、QDMTTからなり、その総称である。条約ではなく国内法によって実施される。QDMTT導入国の構成会社に対するQDMTT課税金額は最終親会社で外国税額控除の対象とされる。

日本政府は、法人税の引下げ競争に歯止めをかけたり、国際的な企業間の競争条件の公平性を確保する観点から、グローバル・ミニマム課税は、日本あるいは日本企業にとってメリットが大きい取組みであり、議論の旗を振ってきた立場でもあり、従前より法制化を進める方針にブレはない。

UTPRは、IIRを導入するのみでは最終親会社と構成会社との所在地国を入れ替える租税回避行為に対処できな...