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[全文公開] 国際税務の英単語 Partially-Owned Parent Entity(POPE)(被部分保有親会社等)

佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周

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本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も 前回 に引き続き、グローバル・ミニマム課税(各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税)に関する用語です。

国際最低課税額について、最終親会社等( UPE:Ultimate Parent Entity )以外で納税義務者となりうるものとして、 前回 は中間親会社等( IPE:Intermediate Parent Entity )を確認したので、今回は「被部分保有親会社等」のほうを解説します。

被部分保有親会社等とは、シンプルにいうと、以下の両方に該当する構成会社等( Constituent Entity )をいいます(ただし、最終親会社等及び各種投資会社等を除く)。

  • 他の構成会社等に対する所有持分( Ownership Interest )を直接または間接に有する
  • 外部株主(当該特定多国籍企業グループ等に属する他の構成会社等以外の者)の請求権割合が20%を超える
  • あまり適当な説明をすると怒られますが、「資本関係で見て中間親会社等と同じような位置にあって、かつ、外部株主の請求権割合が20%超の構成会社等」と考えておけば、大きくは外れていません。イメージとしては、その外部株主に対する課税漏れが生じないよう、被部分保有親会社等を国際最低課税額に対する法人税の納税義務者にするということです。

    この被部分保有親会社等を英訳すると、 Partially-Owned Parent Entity です。 parent entity (親会社等)の部分は、最終親会社等や中間親会社等と同じですが、今回は partially-owned がくっついています。これが「(被)部分保有」を意味するということですね。

    この partially-owned という表現は結構便利で、 parent entity から少し離れると、「子会社に対する保有割合が100%ではない」と言いたいときに使いやすい用語です。例えば、100%子会社であれば wholly-owned subsidiary 、そうでなければ partially-owned subsidiary ということです。

    なお、 Partially-Owned Parent Entity は、よく POPE と略されています。グローバル・ミニマム課税制度の用語は長ったらしいものが多いので、略語は歓迎なのですが、この POPE は少し使いづらいように思います。というのも、一般に Pope といえば「ローマ法王(ローマ教皇)」を意味するからです。