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中堅企業向け 海外税務申告書を活用した海外子会社管理

SCS国際税理士法人 タックスディレクター・税理士 中瀬 和正

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略歴 :メルボルン大学院修士課程を修了。外資系大手税理士法人、SCSシンガポール事務所、日系大手IT企業の国際税務担当を経て現職。様々な立場での経験を活かして国際税務の現場で活躍している。

本稿はすでに国際的な税務ガバナンスを構築されている大企業向けではなく、これまで日本本社では海外子会社の税務ガバナンスを意識したことはなかったが、まずは何から始めたら良いのかという問題意識をお持ちの企業を想定して一般論を寄稿するものです。また、本稿は法人所得税のみを想定した内容となっていますが、現地税務ガバナンスの観点からは、個人所得税の課税範囲(特に駐在員関連)や付加価値税の取扱い(デジタルサービス関連等)などの他税目の重要論点もありますのでご留意ください。

1 はじめに

昨年まで「各国の税務申告書を読み解く」という連載を寄稿させていただきましたが、本稿では日本本社の税務担当者が海外子会社の税務申告書および決算書・監査報告書(以下、「税務申告書等」)を取り寄せて、海外子会社管理という観点から何かできることはないか考えてみたいと思います。

日本親会社では、外国子会社合算税制(以下、「CFC税制」)の計算根拠や添...