※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

米国税務

DLA Piper LLP(US)(サンフランシスコおよびシアトル) パートナー サン キム
DLA Piper LLP(US)(ニューヨーク) パートナー ドリュー ヤング
DLA Piper LLP(US)(ニューヨーク) パートナー マルティ ナラヤン
DLA Piper LLP(US)(ワシントンDC) パートナー エヴァン ミグデイル
DLA Piper(ディーエルエイ・パイパー東京パートナーシップ外国法共同事業法律事務所) シニアタックスディレクター・税理士・国際税務クリニック院長 山田 晴美

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この解説は2025年3月5日に開催されたセミナー『【DLA Piper×国際税務研究会共催】米国税務セミナー ~トランプ政権が日本企業に与える税務的影響~』を記事化したもので、内容は2月7日時点のものになります。なお、4月14日時点で確認できた情報については「(注)」として加筆しております。

はじめに

トランプ大統領の再選により、米国の税制を巡る環境は大きな転換点を迎えています。新政権の発足に伴い、税制面での変化は日系多国籍企業にとって非常に重要な課題となっています。本稿では、DLA Piperの税務専門家チームによる最新セミナーの内容をもとに、米国の政治情勢と連邦議会の構成変化、主要な税制案、企業のタックス・プランニングへの影響、そして、インフレ抑制法(IRA)に基づくエネルギー関連税額控除の今後について詳説します。

1.米国の政治情勢と連邦議会の構成の変化

現在の米国連邦議会は、下院では共和党が220議席(現在3議席が欠員)、民主党が215議席という僅差で共和党が多数派を占めています。この状況では、共和党が法案を通すためには全会一致が必要となる微妙な状況です1。一方、上院では共和党53議席...