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源泉所得税の国際課税における税務リスクの低減に向けて

 税理士 阿瀬 薫

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はじめに

想定外の税負担が生じた際の原因究明と対応案の策定、あるいは重大事の各種想定問答の作成等は、税務部が担うと考えられます。

しかし、想定外が生じてからでは遅く、税務リスク低減の取組みを進めておかなければ、その責任を問われかねません。

税務リスク低減の取組みとしては、社員への税知識の提供と、税務に関する連絡相談体制の構築が考えられます。

源泉所得税に関する前者としては、①基礎知識として有しておくべきもの、②人事部が給与支払者たる源泉徴収義務者として有しておくべきもの、③事業部が報酬や使用料の支払者たる源泉徴収義務者として有しておくべきものが考えられます。

また、後者としては、人事部や事業部が基礎知識を有した上で、確認等をすべき税務上の取扱いが生じた場合に、確実に税務部に連絡や相談をすること、そして必要時には、税理士等に相談できる環境の確保が考えられます。

税理士等への税務相談は、税務部が窓口となって人事部が行う場合のほか、人事部が独自に年間を通じ、あるいは税務調査時に行う場合がありますが、いずれの場合も、税務部との情報共有が不可欠です。

このような認識の下、税務部を含め、人事部や事業部の担当者が...