組織再編、M&Aがあった場合のグローバル・ミニマム課税への影響・対応 第2回 M&Aの取扱い
EY税理士法人 戸崎 隆太
第2回となる本稿では、組織再編やM&Aがあった場合のグローバル・ミニマム課税への影響・対応のうち、M&Aの取扱いについて、関連規定を整理した上で、具体例に当てはめながら適用関係や留意事項の解説を行います。
■ 第3回:移行期間の取扱い |
(注)本稿では、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税等を「本税制」と、グローバル・ミニマム課税の制度的枠組みを定めたモデルルール及びその解釈を示したコメンタリー並びにこれらを補足するガイダンスを包括して「GloBEルール」(GloBE Rule:Global Anti-Base Erosion Rule)と呼びます。
Ⅱ.M&Aの取扱い
1.関連規定の整理
(1)独立企業間価格に基づく当期純損益金額の調整
本税制では、多国籍企業グループ内のクロスボーダー取引については、同一の独立企業間価格で行われたものとして当期純損益金額を計算することとされています( 法令155の16 ③ 1 )。
M&Aは第三者間で行われることが一般的であるため、第1回のグループ内組織再編と比較すると、多国籍企業グループ...