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[全文公開] domestic news 国税不服審判所 CFC税制等に係る裁決事例を公表

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国税不服審判所は6月18日、「 令和6年10月から12月までの裁決事例 」を追加した。国際関係としては、< 外国子会社合算税制の特定外国関係会社に該当するかどうかの判定における株式等保有割合は、「出資の金額」により判定すべきとした事例(令和6年11月1日裁決) >と、< 国外居住親族に係る書類の添付等がなく扶養控除の適用がないとして更正の請求ができる場合に該当しないとした事例(令和6年10月22日裁決) >の2事例が追加されている。

このうち、<外国子会社合算税制の特定外国関係会社に該当するかどうかの判定における株式等保有割合は、「出資の金額」により判定すべきとした事例>では、外国子会社合算税制において特定外国関係会社とされるペーパー・カンパニーの範囲から除外される「持株会社除外特例」を適用するには「外国関係会社の有する外国法人の株式等の保有割合が25%以上」であることが条件の1つとなるが、その割合の判定方法について判断が行われている。

同事例は、複数の米国LLCに関して争われたもので、上記の株式等保有割合について、請求人は「『出資の数』又は『議決権のある出資の数』」を用いて判定することができる旨を主張したが、審判所は、今回の事例の状況から考えると、「『出資の数』においては、出資を均等の割合的単位に細分化する口数の定めがある場合において基準として用いることができると解されるところ、LLC法には持分を口数として均等の割合的単位によって細分化すべきことや、口数に応じて拠出がなされるべきことを定めた規定はなく、契約書にも本件各LLCの拠出資本及び持分に係る口数に関する定めはないことから、本件各LLCにおいては『出資の数』を観念することができない」とし、また、「契約書には出資に基づく議決権に係る定めがあるとは認められないことから、本件各LLCにおいては『議決権のある出資』を観念することはできず」、本件各LLC契約書には株式に関する定めもないことから、「当該保有割合は『出資の金額』で判定することになる」としている。本件では、出資の金額で計算すると株式等保有割合は25%未満となるため、本件各社員LLCは持会社除外特例が適用される外国関係会社には該当しないことなどから、「外国子会社合算税制の適用がある」という判断を審判所は示し、請求人の審査請求を棄却している。