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一目でわかる中国☆国際税務教室 Vol.239 AOAから考える中国のサービスPE課税の行方

上海ユナイテッドアチーブメント コンサルティング 代表 公認会計士・税理士 鈴木 康伸

( 100頁)

本稿ではまずAOA(Authorized OECD Approach)の日本における税務法規を、中国のサービスPEに関係する部分に限定して解説し、中国のサービスPE関連税務規定と比較して、中国のPE課税で実践されるべき法規及び実務の方向性について論じたい。

日本におけるAOAの税務法規への適用(本稿関連部分のみ)

AOAは帰属主義を原則とする。外国法人が第三者と行う外部取引、例えば日本法人(本社)が中国バイヤーとの間で中国において直接営業活動を行う外部取引を考えてみよう。帰属主義では、当該外部取引から生ずる所得のうち中国に(代理人)PEが認定される場合において、PEに帰せられる部分を当該PEの課税所得とするといった考え方をとる。外部取引のPE帰属問題は中国においては主に代理人PEに属するものと考えられるので、ここでは深掘りするのを控え、本稿の最後に若干のコメントを残すに留めよう。

次に、PEと本店間の内部取引では、独立企業間原則に基づきその所得金額を計算する必要がある。内部取引には、収益サイドと費用サイドの両方の取引がある。日中の例でいえば、日本本社が中国子会社に対して技術支援、管理サービス...