ゼロからわかるアメリカ税務 日系企業が押さえるべき基礎と実務 第1回 米国税制の全体像と特徴
DLA Pipe東京パートナーシップ外国法共同事業法律事務所 シニアタックスディレクター・税理士・国際税務クリニック院長 山田 晴美
DLA Pipe東京パートナーシップ外国法共同事業法律事務所 オブカウンセル・米国ニューヨーク州弁護士・弁護士・税理士 鵜澤 圭太郎
1.はじめに(本連載の開始にあたって)
米国市場への進出は、多くの日本企業にとって依然として重要な成長戦略となっています。しかし、米国の税制は日本とは大きく異なり、またその難解さや複雑さも相まって、多くの企業が十分に理解できないまま、様々な課題に日々直面しているのが現状です。
本連載では、日系多国籍企業の本社税務担当や米国駐在担当の方々が直面するであろう米国税務の重要点について、実務的な視点から分かりやすく解説してまいります。各制度の詳細よりも、まずは全体像をざっくり把握することを優先し、実践的な知識と対応策に焦点を当てるとともに、日本本社への影響についても具体的にご説明します。
この記事の内容が少し難しく感じられた方も、ご安心ください。記事の最後にまとめの表を用意していますので、まずはそちらをご覧ください。その後、記事に戻って詳細をお読みいただければ、理解が深まると思います。
2.なぜ米国税務は難しいのか
米国は世界でも屈指の複雑な税制を有していることで知られており、難解とされる日本の税制と比較しても、その複雑さは際立っています。
これにはいくつかの理由が考えられますが、まずは米国が連邦制度を採...