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続編 トランプ関税への日系企業としての対応策

Hotta Liesenberg Saito LLP パートナー 高名 祐治
外国法共同事業ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士 井上 康一
 弁護士 大沢 拓

( 54頁)

7月号  トランプ関税と日本企業による移転価格対応(上)

8月号  トランプ関税と日本企業による移転価格対応(下)

9月号  トランプ関税への日系企業としての対応策

(目次)

1 はじめに

2 輸入課税価格の構成要素の見直し

(1)輸入課税価格の構成要素

(2)明示の非加算項目の切り分け

(3)明示的でない非加算項目の切り分け

3 移転価格の活用

4 ファースト・セール・ルールの適用

(1)概要

(2)FSRの適用要件

(3)まとめ

5 おわりに

1 はじめに

トランプ政権が発動した高関税政策により、原則として全ての国から米国に輸入される貨物に対し、相互関税と分野別関税が課されている。相互関税は、全ての品目につき10%の税率で課すこととしているが、米国の貿易赤字額が大きい国・地域については、さらに高い関税率が適用される。他方、分野別関税は、鉄鋼、アルミニウム製品、自動車、自動車部品等を対象とするもので、鉄鋼、アルミニウム製品については50%の税率で、自動車、自動車部品については25%の税率で、それぞれ課されることとされている。

日本に対する相互関税の税率は、2025年8月1日より、10%から25%に引き上げられることが予定さ...