ゼロからわかるアメリカ税務 日系企業が押さえるべき基礎と実務 第2回 米国連邦法人税の基礎①
DLA Pipe東京パートナーシップ外国法共同事業法律事務所 シニアタックスディレクター・税理士・国際税務クリニック院長 山田 晴美
DLA Pipe東京パートナーシップ外国法共同事業法律事務所 オブカウンセル・米国ニューヨーク州弁護士・弁護士・税理士 鵜澤 圭太郎
1.はじめに
第2回では、米国に進出している日系企業にとって最も重要な、連邦法人税の基礎・基本を解説いたします。 前回 も触れたとおり、米国の税制は連邦レベルと州・地方レベルに大きく分かれていますが、今回取り扱うのは、連邦税のうち法人の所得に対して課される所得税 1 です。ここでは「連邦法人税」と呼びます。
2.連邦法人税の概要
2.1.課税の仕組み
米国の連邦法人税制度は、内国歳入庁(Internal Revenue Service:IRS)が管轄し、内国歳入法典(Internal Revenue Code:IRC)に基づいて課税されています。現在のIRCは、第一次トランプ政権下の2017年税制改革法(Tax Cuts and Jobs Act:TCJA)による改正後のものがベースになっています。バイデン政権下の2022年インフレ削減法(Inflation Reduction Act:IRA)でも一定の改正がなされ、第二次トランプ政権が2025年7月4日に成立させた「大きく美しい一つの法」(One Big Beautiful Bill Act:OBBBA)でも改正されています 2 。
連邦法人税の基本は、...