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TP Controversy Report〈97〉 Amount Bをめぐる移転価格実務の新局面
EY税理士法人 高垣 勝彦
宇田川 凌
梅田 裕大
( 95頁)
1.はじめに
2024年2月にOECDが公表した「Amount B」(簡素化・合理化アプローチ)は、マーケティングや販売取引に、予め決められたこれらの基本的機能に帰属すべき利益率を適用する簡便法です。従来の詳細な比較可能性分析を省略できる一方、既存の移転価格ポリシーや実務運用との整合性をめぐり、新たな論点を生んでいます。本稿では、Amount Bの概要や従来型TNMM(取引単位営業利益法)との比較を通じ、企業が直面する実務課題を整理します。
2.Amount Bの概要と導入スケジュール
Amount Bは、OECDが地域や業種に応じた標準的な営業利益率を提示することにより、関連者間の基本的な販売活動...