※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

国内投資の現状と租税回避

  勝野 晃

( 74頁)

1 はじめに

本稿では、まず、国外からの投資指標である対日直接投資残高の推移、主な投資案件について概観する。次いで、現状において投資に広く用いられている租税負担軽減策を組み込んだスキームについて、そのキャッシュフローを追いながら、税負担軽減要素を抽出のうえ税務上の評価を行い、課税リスクについて検討を行う。最後に、我が国の健全な経済成長のため、行き過ぎた租税回避を抑制しつつ、投資環境の整備を目指した税制の在り方について私見を述べる。

なお、本稿の評価や意見に係る部分はすべて筆者個人の見解であり、筆者の属する組織の正式な意見ではない。

2 国内投資の状況

(1)国外から国内への投資の状況

対日直接投資は、我が国経済の持続的成長に寄与するものであり、2023(令和5)年末の対日直接投資残高は50.5兆円となり、株式資本、収益の再投資、負債性資本はそれぞれ長期にわたり堅調に推移している【図表1―1】

図表1―1 対日直接投資残高の推移

国別残高は、米国が12.5兆円(24.7%)、次いで英国が8.7兆円(17.2%)、シンガポールが5.3兆円(10.4%)と続いている【図表1―2】2。国別の残高が示すと...