[全文公開] 国際税務の英単語 safe harbour(セーフ・ハーバー)
佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周
本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も 前回 に引き続き、グローバル・ミニマム課税(各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税)に関する用語です。
グローバル・ミニマム課税にはいくつかのセーフ・ハーバー・ルールがありますが、今回は「セーフ・ハーバー」という用語自体について書きます。
セーフ・ハーバーは、英語でもそのまま safe harbour です。 harbour (または harbor )は「港」という意味なので、 safe harbour を直訳すると「安全な港」ということになります。つまり、船がそこにいる限りは海難を避けられるような場所ということです。すなわち、セーフ・ハーバー・ルールは、端的には、それを充足する(それに従って行動する)限りは、法令違反を問われることがないという条件や基準をいいます。
ちなみに、 safe harbour は safe haven と呼ばれることもあり、基本的に両者の意味は同じです( haven は harbour と同様、「港」という意味です)。
税務の世界では、移転価格( transfer pricing )について、セーフ・ハーバー・ルールを検討することが多いと思われます。例えば、親子ローンの金利やIGSのマークアップ率などについて、予め定められた範囲内で設定しておけば、移転価格課税されないイメージです。
このように、セーフ・ハーバー・ルールには納税者のコンプライアンス・コスト( compliance costs )を軽減する効果があります。この点は、グローバル・ミニマム課税についても同様であり、複雑な制度であるからこそ、セーフ・ハーバー・ルールの存在はより重要になります。具体的には、次回以降で解説しますが、グローバル・ミニマム課税には移行期間CbCRセーフ・ハーバー( Transitional CbCR Safe Harbour )やQDMTTセーフ・ハーバー( QDMTT Safe Harbour )があるほか、適用免除基準( de minimis exclusion )も一種のセーフ・ハーバー・ルールと考えることができます。
グローバル・ミニマム課税は「海難」ではないですが、多くの日本企業にとって「難」であることは間違いないので、皆さんが safe harbour にいられるといいなと思います。





