[全文公開] 書評 国際税務文科会 編著 『詳解 国際税務 NEWケース・スタディ』(2025年10月刊行/税務研究会出版局)
税理士 川田 剛
情報通信手段の発達により、ヒト・モノ・カネの移動だけでなく、ヒトが移動することなしに情報を通じモノとカネのやり取りが容易に行えるようになってきている。
それに伴い、ヒト・モノ・カネの移動に着目して課税する国際税務の分野も急速に変化してきつつある。
今般発刊された本書は、そのような動きに対応した著作である。周知のように、本書は、これまで「月刊国際税務」誌上において2014年から2024年まで全53回にわたり掲載されてきた記事について、新たな視点から見直し、必要に応じ所要の修正を加えたうえでまとめられたものである。
執筆メンバーは、2000年に私的な勉強会としてスタートし、今年で26年目を迎える「国際税務文科会」の会員である。
同文科会は、年8回、土曜日の午後半日程度をかけて、国際税務に関する種々のテーマについて、自分達の有する課題を取り上げ意見交換を行うとともに、必要に応じ外部から講師を招いて新しい分野の知識の吸収にも努めてきた。
現に評者も、何回か講師としてこの会に招かれて発表をしたことがあるが、するどい質問が数多く出され、タジタジとなった思い出がある。
そのような勉強熱心なメンバーの見解がまとめられた本書は、次の7つの分野で構成されている。
Ⅰ.外国子会社合算税制関係
Ⅱ.所得税関係
Ⅲ.源泉所得税関係
Ⅳ.法人税関係
Ⅴ.消費税関係
Ⅵ.相続税関係
Ⅶ.その他
いずれの分野においても、質疑応答形式でわかりやすい形でまとめられている。そのため、必要な個所のみをひろい読みするという形での利用も可能である。
本書のもうひとつの特色は、各項目について、執筆者だけでなく、監修者によるチェックがなされているという点である。
これにより、それぞれの事例について、複眼的な視点から検討がなされ、より正確で、かつ、わかりやすい形でまとめられており、実務的にも使い勝手のよいものとなっている。
国際税務文科会のメンバーは、現在も「月刊国際税務」誌上で、同様のケース・スタディという形で新しい問題に取り組んでいる。
それらの成果も、いずれ本書の改訂版という形での出版が予定されているとのことである。
(評者:川田 剛)




