OECDモデル租税条約2025年改訂による「国境を越えたリモートワークの取扱い」について
EY税理士法人 パートナー 戸崎 隆太
2025年11月19日、OECDは、OECDモデル租税条約2025年改訂を公表しました 1 。このうち、第5条(恒久的施設=PE:Permanent Establishment)のコメンタリーの改訂においては、国境を越えたリモートワークの取扱いが明らかにされました。
近年、デジタル化の進展やパンデミック後の働き方改革により、国境を越えたリモートワークが急速に普及しています。従業員が自国以外の場所から業務を行うケースが増える中、従来のPEの概念はこうした新しい働き方を十分に想定していませんでした。その結果、企業や税務当局の間で、リモートワークによるPE認定リスクや課税権の所在について不確実性が高まっていました。今回の改訂は、この不透明性を解消し、国際課税ルールの明確化を図るものであると考えられます。
本稿では、第5条のコメンタリーの改訂のうち、国境を越えたリモートワークに関する内容を解説し、さらに、実務に対する影響について考察します。
1.リモートワークとPEに関する改訂前の問題点
PEとは、事業を行う一定の場所であって企業がその事業の全部又は一部を行っている場所を言います(第5条1)。PEには、支...




