[全文公開] 国際税務の英単語 QDMTT Safe Harbour(QDMTTセーフ・ハーバー)
公認会計士・税理士 佐和 周
本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も 前回 に引き続き、グローバル・ミニマム課税(各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税)に関する用語です。
セーフ・ハーバーについては、少し前に移行期間CbCRセーフ・ハーバー( Transitional CbCR Safe Harbour )に触れましたが、グローバル・ミニマム課税においては、もう1つ、QDMTTセーフ・ハーバーというものもあります。これは、英語でも QDMTT Safe Harbour なので、用語を見るだけでは意味は分かりません。
前提として、QDMTTは、 Qualified Domestic Minimum Top-Up Tax の略で、本連載では以前に「適格国内ミニマム課税」と訳しましたが、国際最低課税額に対する法人税の制度では「自国内最低課税額に係る税」という用語が対応します。
国際最低課税額に対する法人税の制度においては、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等( Constituent Entity )が我が国以外の国または地域の租税に関する法令において自国内最低課税額に係る税を課することとされている場合において、その自国内最低課税額に係る税が一定の要件を満たすときは、その国または地域に係るグループ国際最低課税額( Jurisdictional Top-up Tax )を零とすることとされており、端的にはこれがQDMTTセーフ・ハーバーです。
セーフ・ハーバーを抜きにしても、構成会社等に係るグループ国際最低課税額の計算にあたり、QDMTTは控除されます。しかしながら、日本の税制とQDMTTの双方で同じような計算を行うことは、企業にとって事務負担の増大につながるため、一定の要件を満たすQDMTTの制度を持つ国・地域については、そもそもグループ国際最低課税額をゼロとみなすことができるという仕組みです。
詳細は割愛しますが、具体的な要件としては、QDMTT会計基準( QDMTT Accounting Standard )と整合性基準( Consistency Standard )があります。そして、特定の国・地域の租税に関する法令がこれらの要件を満たすかどうかについては、企業の側で判断する必要がありますが、実際にはOECDのウェブサイトにおいて判定の参考となる情報(自国内最低課税額に係る税に関する適用免除基準の対象となる国または地域)が公表されています。




