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[全文公開] アングル 「永住」と「帰化」(日本国籍の取得)

 税理士 川田 剛

( 106頁)

▶はじめに

急激な人口減少と高齢化に伴い、外国人労働者に頼らざるを得ない分野が急速に拡大している。

それに伴い、否応なしに生じてくるのが、それらの人々をどのように扱うかという問題である。

明治以来、わが国は急増する人々に十分な職を与えることができるハワイやブラジルなどへの「移民」という形で解決を図ってきた。

そして、それらの人達の多くが、現地に根を下ろし、「日系人」として生きていくという道を選んだ。

それと反対に、今度は外国の人達が日本で働くために来日し、最終的には日本に永住したり日本国籍を取得するようになってきている。

▶「永住者」とは

法務省の入管資料によれば、2025年12月末現在、わが国に長期間在留している外国人数は過去最高の413.5万人にのぼっている(前年度比35.6万人増、+9.5%)。

ちなみに、その内訳は次のようになっている。

①永住者            94.7万人(+2.9万人)

※他に別枠(特別永住者)+26.5万人

②技術・人文・知識・国際業務  47.5万人(+5.9万人)

③留学生            46.4万人(+6.2万人)

④技能実習生          45.6万人(+2万人)

⑤特定技能           39.0万人(+10.5万人)

これらの人達のうち、②~⑤の人達については、「在留期間」や「活動範囲(仕事の内容等)」に制限が付されているのに対し、「永住者」にはこのような制限は付されていない (注)

(注)ただし、在留資格の取消制度や退去強制制度など入国管理法に基づく在留管理の対象となる。

〈永住許可を受けるための条件〉

このように、「永住者」には、他の長期在留者にみられないいくつかの特典が与えられている。

そのため、永住許可を受けるためには、入管法上、次のような条件を満たしていることが必要とされている。

①素行が善良であること

②独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

③その者の永住が日本国の利益に資すること

しかし、永住者のなかには、永住許可を受けるために、まとめて公租公課の支払をしたり、永住許可後に故意にそれらの公的義務を履行していないなどの事例もみられる。そこで、永住許可を受けた後も、公的義務を適正に履行していることなど、要件の厳格化の必要性が求められている。

(詳細については出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」を参照されたい)。

▶日本国籍の取得(帰化)

「出生地主義」によっている米国などと異なり、わが国では「血統主義」が採用されている。

その結果、日本国籍の取得を希望する外国人は、本人の申請及び法務大臣の許可による「帰化」という手続きを取ることでしか日本国籍を得ることができない(国籍法4条~9条) (注)

(注)法務大臣が「帰化」を許可した場合には、官報にその旨が記載される(国籍法10条)。

〈帰化の条件〉

日本に「帰化」するためには、次のような要件を充足する必要があるとされている(同法5条)。

①住所条件............帰化申請時までに引き続き日本に5年以上(適法に)住んでいること

②能力条件............年齢が18才以上であり、かつ、本国の法律においても成人の年齢に達していること

③素行条件............素行が善良であること

・犯罪歴がないこと

・納税状況が良好であること

・社会への迷惑の有無等

④生計条件............生活に困るようなことがなく、日本で暮らしていけること(これについては世帯単位で判断)

⑤重国籍防止条件...帰化によってそれまでの国籍を喪失すること

⑥憲法遵守条件......日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張する者あるいはそのような団体を結成したり加入したりしていないこと

帰化許可申請者数、帰化許可者数及び帰化不許可者数の推移

(単位:人)

事項

帰化許可

申請者数

帰化許可者数

帰化

不許可者数

合計

うち韓国・朝鮮

うち中国

その他

昭和45年

(1970)

5,663

5,379

4,646

320

413

昭和55年

(1980)

9,158

8,004

5,987

1,619

398

平成2年

(1990)

9,904

6,794

5,216

1,349

229

274

平成12年

(2000)

14,936

15,812

9,842

5,245

725

215

平成22年

(2010)

13,391

13,070

6,668

4,814

1,588

234

令和2年

(2020)

8,673

9,079

4,113

2,881

2,085

900

令和5年

(2023)

9,836

8,800

2,807

2,651

3,342

813

令和6年

(2024)

12,248

8,863

2,283

3,122

3,458

639

令和7年

(2025)

14,103

9,258

2,017

3,533

3,708

666

累 計

619,466

法務省民事局資料を基に作成

いずれも暦年の人数である。

なお、国籍取得要件については、永住者に比してゆるすぎるとの批判があったことなどから、法務省では、例えば居住要件を5年から10年に延長するなど、その厳格化を図ることとしている。

▶あとがき

「永住権の取得」、「日本への帰化」のいずれにおいても、日本における法令の遵守、なかでも「納税義務の適正な履行」は不可欠である。「滞納」のような法令違反がないことだけでなく、「適正申告と期限内納付」は、永住権の取得や保持に不可欠であると考えるがいかがなものであろうか。