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[全文公開] アングル 憲法改正手続き

 税理士 川田 剛

( 80頁)

▶はじめに

日本史のテキストなどでも記されているように、わが国で初めて憲法が制定されたのは明治22年(1889年)のことである。その後これが改正され、施行されたのは昭和22年(1947年)5月3日 (注) である。そしてその後、現在に至るまで、改正はなされていない。

(注)この改正にあたっては、当初、幣原内閣(当時)による案が作成された。しかし、連合国総司令部(GHQ)がその案を拒否し、国民主権や戦争放棄の原則を盛り込んだ独自の案を提示、それをベースに昭和21年11月3日、国民主権、平和主義、基本的人権の保障を柱とした現行憲法が旧憲法の改正という手続きを経て成立した。

ちなみに、現行憲法の下では、憲法を改正するためには、衆議院及び参議院の総議員の「3分の2以上の賛成」で改正憲法案を「発議」し、「国民に提案してその承認を経なければならない」とされている(憲法第96条前段)。

そして、その「承認」には、「特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票」において、「その過半数の賛成」を得ることが必要とされている(同条後段) (注) 。それでは、他の国の憲法改正はどのような形で行われるのであろうか。

(注)この投票(いわゆる国民投票)は、発議の日から60日以後、180日以内に行われることとされている(この部分のみ政府広報オンラインから引用)。

そこで、今回は、それと比較する形で、米国の憲法改正手続について紹介することとしたい。

▶米国の憲法改正手続

わが国と異なり、州の連合体で構成されている米国では、連邦憲法の改正にあたっても、「連邦議会」には発議権は与えられているものの、わが国のような「国民投票」という形での承認手続きは採用されてなく、州の承認(批准)が必要とされている。

それでは、その承認手続きはどのような形で行われるのであろうか。

▶発議(Proposal)プロセス

連邦憲法第5条(憲法改正手続き)によれば、憲法改正の発議は、次のいずれかによらなければならないとされている(同条前段)。

①(上下)両議院の3分の2が必要と認めるとき

②各州の3分の2以上の州議会が要請したとき (注)

(注)現在は50州での構成となっているため34州以上の要請が必要。ただし、この方法は現在に至るまで用いられたことはない。

▶承認(Ratification)プロセス

①連邦上下両議院の発議による場合

この場合には(連邦加入)各州の4分の3以上による州議会の承認が必要 (注) 。

(注)現在は50州で構成されているので、承認のためには30州以上の州議会の承認が必要。

②各州の3分の2以上の州議会の発議による場合

この場合には4分の3の州における州憲法会議による承認(Rattifying Convention)が必要。

▶発効

発効のためには、わが国におけるような手続き(公布)は必要とされておらず、4分の3以上の州が承認した時点で、直ちに発効することとされている。

▶改正回数

このような厳しいプロセスを経ることが必要とされてはいるものの、建国以来これまでの250年間に連邦憲法は28回の修正(Amendment)が行われている ※ 。

※なお、これ以外にも連邦議会で発議され、各州の承認を求めたものの4分の3の承認が得られず、棚ざらし状態となっているものが多数ある。

▶フランスの場合

フランスでは、わが国と同じく中央集権制度となっているが、大統領は国民の直接選挙で選ばれ、かつ、大きな権限を与えられている大統領制になっている。そのため、憲法改正の発議権も、議会だけでなく大統領にも与えられている(同国憲法第89条前段) (注) 。

この点でわが国と大きく異なる。また、連邦制度で、かつ、大統領制が採用されている米国とも異なる。

(注)ただし、最終的に国民投票により承認が必要とされている点(同条中段)ではわが国と同様である。

共和政体の変更については改正の対象とすることはできないとされている(同条後段)。