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税金裁判の動向【今月のポイント】第266回 適格合併における事業継続要件と法132条の2の適用の可否
立命館大学法学部 教授 望月 爾
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法人税法132条の2 の組織再編成に係る行為計算否認規定の適用をめぐっては、その不当性要件の判断基準として、ヤフー事件の平成28年最高裁判決(本連載第159回(2016年5月号に掲載))が、「制度濫用基準」を判示しました。その後、適格合併による繰越欠損金の引継ぎに対し、同条の適用の可否が争われたTPR事件(本連載第212回( 2020年10月号 に掲載))においても、その基準が踏襲され、 法人税法57条 2項について、合併後の事業の継続を要するという判断が示されました。
今回は、このTPR事件と同様な適格合併において、事業の継続を要件としないとする納税者勝訴の判決が下された東京地裁令和6年9月27日判決(...