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絶対まねてはいけない会計不正 正しい経理を行うために知っておくべき不正事例 第4回 資産の流用、横領
公認会計士・税理士 久保 直生
公認会計士・税理士 髙木 伸浩
弁護士・公認会計士 牧江 真弥
公認会計士 鈴木伽奈子
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第2回 、 第3回 と売上不正、在庫不正を説明してきましたが、第4回は中小企業において最も発生する可能性が高いと思われる、現金預金その他資産の流用、横領について説明します。
1 資産の流用、横領が行われる背景
資産の流用、横領が行われる背景については、第1回( 2025年1月号 に掲載)で説明したとおり、その横領等を行う動機と機会(チャンス)があり、それを抑える倫理感が欠如して、その欠如の割合が高いときに起こります。動機については、多くの要因がありますが、よく見られるのが、ギャンブル、投資の失敗、遊興費への使用によるものです。家族の医療費の捻出等もありますが、多くが同情の余地のないものばかりです。
横領が発生...