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相続等に備える「家族法」の理解 第11回 遺言書に関する家族法のルール

 弁護士 松浦 絢子

( 50頁)

現代社会において、遺言書の重要性は高まっています。その背景として、高齢化社会の進展とそれに伴う相続トラブルの増加が挙げられます。平均寿命が伸びることにより、相続が発生する年齢も高くなり、遺産分割の対象となる財産も多岐にわたる傾向にあります。

また、核家族化や再婚、事実婚など、多様化する家族関係においては、法定相続の規定だけでは故人の意向に沿った財産の承継が難しくなるケースも少なくありません。

さらに、近年ではインターネットバンキングの銀行口座や証券口座、仮想通貨、SNSアカウントといったデジタル遺産の問題があります。このようなデジタル資産は、遺言書に遺産目録として明記しないとその存在自体が遺族に認...