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相続等に備える「家族法」の理解 第12回(最終回) 家族信託と家族法

 弁護士 松浦 絢子

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高齢化社会の進展に伴い、個人の資産管理や円滑な資産承継への関心はこれまで以上に高まっています。このための公的な制度としては、本連載でも取り上げた成年後見や遺言などがあります。もっとも、これらの制度では本人の想いを柔軟かつ確実に実現できないことがあります。

例えば、成年後見では、資産運用などプラスの方向に本人の資産を活用することが難しいことや、障害を持つ家族など本人による扶養を要する家族への継続的な支援が困難であることが指摘されています。また、遺言をのこしたとしても、相続人全員の同意があれば遺言内容と異なる遺産分割協議が可能です。このため、本人の死後に、本人の意図しない財産承継が行われることがあり...