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税金裁判の動向【今月のポイント】第271回 複合構造家屋の固定資産税価格の評価方法

名城大学法学部 教授 伊川 正樹

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固定資産評価額の算定方法は、固定資産評価基準に定められています。家屋の評価についてはその構造別に経年減点補正率を適用するものとされていますが、複合構造家屋の適用方法については明確な定めがありません。

複合構造家屋の評価をめぐって、下級審で算定方法の妥当性に関する判断が分かれていた状況で、最高裁が判断を示しました。

今回は、同日に3件示された最高裁判決のうち、そのうちの1件(大阪市内に所在するオフィスビルの評価)に関する事案をみていきましょう。

家屋の価格の算定方法

固定資産税の課税標準である固定資産の価格は、固定資産評価基準(以下「評価基準」といいます。)によって市町村長が決定するものとされています(...