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絶対まねてはいけない会計不正 正しい経理を行うために知っておくべき不正事例 第9回 見積りの仕方で利益が増える
公認会計士・税理士 久保 直生
公認会計士・税理士 髙木 伸浩
弁護士・公認会計士 牧江 真弥
公認会計士 鈴木伽奈子
税理士 新倉美千子
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第9回は、企業会計において、企業の見積りの仕方次第で利益が大きく変動するという話です。企業会計においては、企業が見積りをすることにより会計処理ができるというものが多くあります。それらの見積りは、客観的な事実に基づいて行うことが重要ですが、一歩間違えば、そこに恣意性が介入し、会計不正の道へとつながるおそれがあります。
今回は、それら見積りの要素がある税効果会計、退職給付会計、賞与引当金、減損会計、資産除去債務についてご説明いたします。
1 税効果会計
税効果会計とは、会計上の収益又は費用と課税所得計算上の益金又は損金の認識時点の相違等により、会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額に...