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税金裁判の動向【今月のポイント】第272回 一般社団法人の入会権の存する土地の賃貸料収入の帰属
立命館大学法学部 教授 望月 爾
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所得の人的帰属については、 所得税法12条 や 法人税法11条 が実質所得者課税の原則を定めていますが、その解釈や適用をめぐっては判断が難しい場合も少なくありません。近年においても、親子間における土地の使用貸借契約に基づく駐車場収入の帰属が争われた大阪高判令和4年7月20日(本誌 2023年1月号 に掲載)が注目を集めました。
今回は、一般社団法人が入会権の存する土地を国(陸上自衛隊)に貸し付けた場合の賃貸料収入の帰属が争点となった事案を紹介します。
事実の概要
一般社団法人X(原告・控訴人)は、前身である社団法人の時代から、自らが所有名義人である土地を国(陸上自衛隊)に演習場等の用地として貸し付けていました。...