シティユーワ法律事務所　弁護士　近藤 祐史
　弁護士　黒川 健

近年、中小企業経営者の高齢化は深刻な問題として取り上げられています。後継者不足から廃業や事業譲渡に至るケースも多く見られますが、事業承継を行おうとしても、相続の問題からスムーズに事業承継が進まないケースも少なくありません。中小企業では経営者が会社の株式の多くを保有していることが多いことから、株式の相続が思った通りにいかないと、せっかく後継者候補がいても、事業承継はうまくいきません。

そこで、本稿では、中小企業において株式の相続が生じた場合の法的問題について見ていきます ^１ 。

1　株式の相続により生じるリスク

中小企業において、株主が死亡して株式の相続が生じると、会社にとって複雑な問題が生じるリスクがあ...