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税金裁判の動向【今月のポイント】第273回 取引相場のない株式の財産評価
広島修道大学法学部 教授 奥谷 健
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相続財産の評価における 財産評価基本通達6 の適用をめぐる争いについて、最高裁令和4年4月19日判決が平等原則に照らした判断を示し、多くの議論を呼んでいます。そして、取引相場のない株式の評価についても、同様の枠組みで判断されています(本連載 第257回 (2024年7月号に掲載)、 第265回 (2025年3月号に掲載)参照)。
今回も、その取引相場のない株式の評価について、 財産評価基本通達6 の適用が問題になった事例をみていこうと思います。
事実の概要
A社は、本件被相続人らによって設立された株式会社です。本件相続開始時において、原告X2(X1の妻)は、A社の代表取締役で、原告X1及び訴外Z(ともに本件被相続人...





