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税金裁判の動向【今月のポイント】第274回 和解契約の成立について当事者間で争いがある状態で振り込まれた金員の益金計上時期

立命館大学法学部 教授 安井 栄二

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事業上のトラブルが生じて相手方と交渉する際に、その交渉を第三者に依頼する場合、交渉の経緯を完全に把握することができないケースも出てきます。そのようなケースでは、その第三者が提示してきた最終の和解条項について、相手方の了解が得られていると認識して和解契約書を作成しても、実は相手方が当該条項を了解しておらず、合意に至らないといった事態が生じることもあります。

それでは、第三者に交渉を依頼し、その結果を踏まえて和解契約書を作成し、自身の分の押印をした上で相手方に送付したところ、相手方から当該契約書の返送がないという状況において、当該契約書に定めた和解金の一部の振込みがあった場合、それは振り込まれた時期...