IFRS新リース基準案の実務論点 第6回(最終回)最終基準化に向けて

有限責任あずさ監査法人 アカウンティング・アドバイザリー・サービス事業部 パートナー 山本 勝一

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1.はじめに

国際会計基準審議会(IASB)は,米国の財務会計基準審議会(FASB)と共同でリース・プロジェクトを進めており,2013年5月には2回目となる公開草案(以下「改訂公開草案」という)を公表しています。本連載では,改訂公開草案の内容をベースに,その後にIASBのボード・ミーティングで暫定的に合意された事項を考慮したもの(以下「新リース基準案」という)の内容と,それが最終基準化された場合の実務上の論点を,主に借手の観点から解説しています。第6回となる今回は,新リース基準案が基準化された場合に,経営管理上論点となる可能性が高い点をご紹介します。

新リース基準案における会計上の論点を本連載の第1回から第5回までで解説してきましたが,その骨子は,リースの借手がほぼ全てのリース取引を財政状態計算書にオンバランスしなければならないということと,費用負担がリース期間の前半で重く,後半では軽くなっていくということです。したがって,業種にもよりますが,会社によっては,財政状態だけでなく経営成績にも非常に大きな影響が生じることが予想されます。

本連載の最終回である本稿では,主に借手へ及ぼす影響を経営管...