シリーズ「学生と語る会計基準」 西川教授のポイントレッスン! 第9回 無形資産
慶應義塾大学商学部 教授 西川郁生
教授 前回はのれんについて話しましたので,それとの関係性を考える意味で,のれん以外の無形資産(以下,無形資産という)を取り上げましょう。
木村太一君 無形資産の会計もいろいろな議論がありそうですね。
教授 ビジネスにおいて無形資産の重要性は時代を追うごとに増しているのに,無形資産に関する会計情報が投資家の意思決定に有用なものとなっていないという懸念を抱いている人が多いと思います。アカデミアにも無形資産会計を根本的に改善すべきという立場の人がいると思います。木村君はどこに問題があると思いますか?
木村君 無形資産の価値がB/Sにきちんと表れず,オフバランスになっていることが多いからでしょうか?
教授 そうですね。利益との関係でいえば,一般的な売上であれば,それに見合った売上原価を対応させることができるのですが,無形資産の場合は,そこから直接的に得られる収入に対して,原価を対応させられないことが多いですね。無形資産が計上されていなければ対応させようもないということですが。
のれんと無形資産
教授 さて,のれんと無形資産はどう違いますか?
木村君 のれんは識別不能資産であって,無形資産は識別可能資産です。
教授概念的に言...
- 経営財務データベースで続きを読む
-
無料 2週間のお試しはこちら
すぐに使えるIDをメールでお送りします