「監査法人のガバナンス・コード」への対応を聴く 新創監査法人

  品質管理の責任者:柳澤 義一(統括代表社員)
  監査実施の責任者:相川 高志(代表社員)
  聴き手:町田 祥弘(青山学院大学大学院教授)

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1.コードを採用しない理由

町田  2017年3月に「監査法人のガバナンス・コード」(以下,コード)が公表されました。7月6日現在,金融庁のホームページによりますと,13の監査法人が適用を表明していますが,新創監査法人(以下,新創)はそこには含まれておりません。そこで,新創がコードを適用しない理由についてお聞かせいただけますか。

相川  コードは社員が数百人,またスタッフも数千人規模という大規模監査法人を想定したものであると理解しています。数千人規模の監査法人と数十人の監査法人を比較した場合,それぞれ在るべき経営体制というのは大きく異なると考えています。

新創は,現在パートナーが9名で,総勢50名という規模ですので,いわゆる公認会計士法が想定している無限連帯責任によるパートナーシップ,それが実現できていると考えているので,コードの採用は必要ないと判断しました。我々の規模ですと,内部はもちろん,クライアントに対しても十分に目が届きます。この特徴を生かして我々に合った最適な経営体制をとっていますので,コードの適用はなくとも,十分に質の高い監査を行う体制ができていると考えています。

町田  現在コードを適用している監査法人には中小法人もあります。確かにコードを適用しなくとも質の高い監査は実現できるかもしれませんが,適用を表明した方がたとえば,現在の被監査会社や,これから新創に依頼をしようという方々にはわかりやすいという側面もあるかもしれませんよね。適用対象として想定されているのは大規模監査法人かもしれませんが,コードの理念に違和感などがないならば適用してもよかったのではないですか。

相川  コードの趣旨からすれば我々のような監査法人はむしろ適用すべきではないと考えております。ただし,我々はコードを適用してはおりませんが,対外的なわかりやすさという観点では,ホームページに,「ガバナンスに関する取組み」という形で掲載しております(編注: http://www.shinsoh.co.jp/business/governance.html )。これは,基本的にはコードに沿った内容で我々がどういったガバナンス体制かという点を説明しているものです。新規のクライアントを含め,我々のガバナンス体制や,監査法人としての特徴を丁寧に説明しております。

2.監査の品質に関する取り組み

町田 ホームページの説明は私も拝見...