ハーフタイム のれんの減損はなぜ遅れるか

( 31頁)

SFAS141(2001)とIFRS3(2004)から始まったのれんの非償却・減損処理は曲がりなりにも20年近く続いて来た。だが定期償却に改めるべきだという議論が時々蒸し返され,いまやFASBもIASBも見直し中と報じられている。わが国のIFRS採用企業でも海外M&Aで発生した巨額のれんをほとんど減損しない例がみられるだけでなく,純国内企業であっても単にのれんの償却を免れたい動機でIFRSを採用するとも言われている。

SFAS141が非償却・減損に踏み切ったころは,"対等合併"を装って「持分プーリング法」を濫用するのを禁止するために,パーチェス法に一本化することによって被る固定資産の時価評価アップ,それに起因する減価償却費増への"代償"ではないかと噂されたものである。いかに優れた会計処理方法であっても濫用されるならば見直しを躊躇すべきではない。減損自体は悪くても"遅すぎる減損"に濫用の気配が漂うならば次の順序で見直すべきだろう。

1)のれんのエッセンスは,業界平均を上回る"超過利益率"である。だがアダムスミス以来言われてきた経済法則によれば,市場参入の自由があるかぎり,それは競争相手の増加...